指輪の魔法がとけた時
まじまじと指輪を見たこともなくて、そっと指から抜き去り観察すると内側に名前が刻まれていた…。

心臓が嫌な音をたてた。

"SIN & ASU HA"

「あす、、、は、、」

その名前には聞き覚えがあった。

『俺の親友の奥さん横浜支社の同期で総務課にいるんだけど名前が明日葉っていうんだよな。
家族ぐるみで遊ぶようになるだろうけど、あすかにあすはってややこしいよな』

先程の亮二の言葉が頭にこだまする…。

『アイツ親友の奥さんとできてるからな』

はずした指輪をはめるわけにはいかなくなった。

そのまま鞄の中にしまうと指輪がなくなった薬指をそっと撫でた。

指輪の呪縛は私をまた苦しめる。

横浜に向かう道のりは、慎に早く会いたい反面、会うことが怖かった。
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