指輪の魔法がとけた時
横浜にいたときに彼女がいてもおかしくはない。

私だって、慎と出会った時には亮二がいたのだ。

過去の女性関係に目くじらたてて、文句をいうのはおかしいだろう。

でも、少しは私だってヤキモチぐらいはやく。

慎が好きだし、過去のことだとわかっていても面白くはない。

出張の宿泊先は聞いていた。

このまま黙って蓋をして見なかったこと、知らないふりをすることは二度としたくはない。

震える体に

"大丈夫、目をそむけちゃだめ"

何度も心の中でいいながら、向かった宿泊先のホテルは駅前のビジネスホテルだった。
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