指輪の魔法がとけた時
「あすか、昨夜あんなに取り乱して泣いていたのは、アイツにではなくて、もしかして俺に対してなの?」

ぎゅっと唇をかんで小さく頷くと、はぁーと大きく息を吐いて肩を抱き寄せた。

「よかった…」

呟かれた言葉に私の中で何かがプツンと切れた音がした。

「ちっともよくないよ!」

睨み付けた私の髪をわしゃわしゃなでまわしながら

「落ち着けって」

と余裕の笑みを浮かべていて、イライラしながら立ち上がった私は鞄から指輪を取りだし慎に突きだした。
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