指輪の魔法がとけた時

信じられない光景に私は目の前の人物から慌てて、車イスを押す慎を仰ぎ見た。

「あすかが、横浜で会ったのはこの二人じゃないのか？｣

声が出ない私をゆっくり彼らの前に連れて行くと

「明日葉と慎介だ。

俺の双子の弟と幼馴染みで慎介のかみさんだ。｣

二人ははじめましてと頭を下げた。

目の前の人物は慎と瓜二つで、、、
双子だと知らなければ目の前の慎介さんは慎にしか見えなかった。

「ちょっと俺の家は複雑でね。
年明けに家族に会わせるときにちゃんと話そうと思ってたんだ。

ごめんな。
早く話してればこんな痛い目みないですんだのにな｣

静かに私に説明し始めた慎を黙って見つめていた。

自分は会社を継ぐために子供ができない両親に生まれたは時に、養子として引き取られたと。

父親の妹が実母にあたり、双子が生まれることがわかり、祖父と兄夫妻に頭を下げられた実のお母さんが"慎" という文字の名前をつけることを条件に慎を手放したそうだ。

二人分の愛情を慎介さんに注ぎ、その名前を慈しみ"慎"と呼ばれ、母親から二人分の愛情をもらい育った慎介さん。

そして何よりも驚いたのは、慎がわが社の御曹司だと。