お隣のイケメン先輩に、365日溺愛されています。
「……杞羽のこと待ってた」
「っ、」
「……って言ったらどーする?」
先輩が目の前に立ったせいで、大きな影に覆われて暗くなった。
ゆっくり顔を上げてみれば、暁生先輩の表情はいつもとなんにも変わらない、読めない。
ずるい、本当にずるい。
その言葉だって本心なのかわかんない。
何も言葉を発せなくて下を向いたまま、先輩の横をすり抜けようとしたけどできなかった。
「……逃げちゃダメ」
手首をつかまれて、身体を抱き寄せられて。
甘すぎる暁生先輩の匂いと、
薄いブラウス越しに伝わってくる熱のせいで、
冷静な思考がどこかにいっちゃいそうになる。
「は、離して……ください……っ」
「やだよ。離したら杞羽逃げるから」
そう言うと、そのままわたしの手を引いてなぜか暁生先輩の部屋の中に。
バタンッと玄関の扉が閉まって。
危険を合図するように
部屋の扉の鍵をかけた音がした。