お隣のイケメン先輩に、365日溺愛されています。
好きとか、彼女とか、特別とか。
暁生先輩にとって、それはどれもわたしには当てはまらなくて。
菜津さんには、それがぜんぶ当てはまってしまうんだ。
いろいろ考え出したら頭がクラクラしてきて、これ以上はもう何も考えたくない。
視界がどんどん涙のせいでぼんやりしてくる。
2人の関係性が深すぎて、
どんどん惨めになっていく。
こんなことになるなら好きにならなきゃよかった、どこかで気持ちの線引きをすればよかった。
「あら、もう帰るの?暁生に用があったんじゃないの?」
泣いてることを知られたくなくて、何も言わずに菜津さんに背中を向けて帰ろうとしたら声をかけられた。
「い、いえ……、何もない……です。ここに来たこと暁生先輩には内緒にしてください……っ」
声の震えを精いっぱい抑えて、
部屋を飛び出した。