お隣のイケメン先輩に、365日溺愛されています。
朝ごはんを食べ終えてもまだ目が覚めない中、春休みからずっと着るのを楽しみにしていた制服に腕を通す。
胸くらいに伸ばした栗色の髪は巻かなくても、自然とくるっと巻かれたようになっていたので、簡単にハーフアップでまとめる。
チラッと時計を見ると、もう家を出るにはいい時間。
「よしっ、そろそろ行こうかな」
新しく買ったローファーを履いて、玄関の鍵を持ち家を出た。
しっかり鍵をしたことを確認し、そのままエレベーターのところまで行こうとしたとき。
隣の部屋の前を通過して気づいた。
……あっ、しまった。
引っ越してきてからお隣さんにご挨拶をしていない。
お母さんに挨拶くらいはしておきなさいよって言われたのにすっかり忘れていた。
隣の202号室の住人さん。
チラッと表札を見てみれば、真っ白で何も書かれていない。
たしか不動産屋さんの話では隣に住人さんいるって聞いてたんだけど……。