特別な夜に魔法を
「かかったな!ムエルト!」

男性の手から黒い光線が飛んでくる。突然のことにキャサリンは体を動かすことができない。その時だった。

「カーパータ!」

グイッと力強く抱き寄せられ、キャサリンは光線から守られる。黒い光線はパチンと音を立てて消えた。

「キャサリン!大丈夫?」

心配げな顔でハリーが訊ねる。キャサリンは「えっ……?どうして……」と呟いた。

バタバタと何人もの足音が響き、トレンチコートを羽織った魔法警察が次々と現れる。

「これは……」

「彼らはここで人身売買をしていたんです!!」

キャサリンが叫び、魔法警察たちは顔色を変える。そして、黒いフードをかぶった人物や男性たちを連行していった。

「……キャサリンの後を追って森に行ったんだ。そして、黒いフードの人たちの取引や君の様子を見て警察を呼んだんだ」

キャサリンの肩を抱き、ハリーが微笑む。

「心配かけた罰、受けてもらうからね?」



警察から事情聴取を受けた後、キャサリンはハリーと学校の寮へと戻った。

捕らえられた人たちは、魔法に関する記憶を消去して元の国に送り届けるらしい。そのことにキャサリンは安心したのだが、今はそれどころではない。
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