君が遺した最後の手紙は

「…ただいま」

「おかえり」

家にいるのはお姉ちゃん1人。お姉ちゃんは文化部だから私より帰るのが早い。今日ものんびりスマホをいじりながらテレビを見てるらしい。

「放送演劇部、活動ないの?」

「ないわけないじゃん!今日も筋トレ筋トレ…部長が怖くてね」

「そうなんだ、大変そうだね」

「そういう美結の方も大変そうじゃん〜、理香がいっつもきついって悲鳴あげてるもん」

「理香先輩体力ないもんね…」

「あ、チクッとこ」

「あ、やめて。理香先輩細いからだよ、うん。細いから体力ないの。」

「うわ、褒めてきた」

「…うるさい」

荷物は放置してポケットからスマホを出してお姉ちゃんの隣に座る。


こういう風に普通に会話できるようになったのも最近だ。「あのこと」があってお姉ちゃんが変に気を使うようになって気まずくなっていた。

「変に気遣われた方が話しにくい」

そう伝えたら今まで通り接してくるようになったけど。

「美結最近学校どう?」

「ん〜、いつも通り。」

ぽちぽちメッセージに返信していきながらお姉ちゃんの問に答える。

「友達はー?」

「ミナ姉はお母さんかよ。ちゃんと居るよ、月華に茉瑚にミヤ、楓に心葵ちゃんに麗咲ちゃんにとにかく平和に過ごしてるよ。問題なし」

「はい、よろしい。」

「そういうお姉ちゃんはどうなの?」

「理香とか美鈴とか玲奈とか仲良くしすぎてハゲそうだわ。SNSの投稿みたらわかるっしょー?」

「確かに。」

「うん。解決。晩御飯食べよっか。」

「そうだね。」

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