君が遺した最後の手紙は


「それでは第1回、文化祭実行委員会をはじめまーす。
最初に自己紹介から。実行委員長の3年、松木 紗奈絵(まつき さなえ)です。」

「副委員長の2年2組、星宮玲奈(ほしみやれな)です。」

「じゃあ1年1組から自己紹介して貰える?」

1組の人が焦ったように席を立つ。2人がすぐ言い終わるもので自分たちの番が回ってくる。

「1年2組の実行委員になりました遠藤美結です。よろしくお願いします。」

乾いた拍手が自分を囲う。林田くんも同じようなことを言ってそして林田くんが拍手を受けてすぐに座る。よくある順番に自己紹介していけー的なやつ。ずっと毎回拍手しなきゃいけないから面倒なのだ。



「それじゃあ今日の委員会の概要を紹介していきます。」

こういうのは結構クラスで話し合えだったり学年で案を出せだったり協力が必須で、やっぱり面倒臭い。だからみんなやりたがらないんだよ。

実際委員会は結構長引き、部活にはあまり出れなかった。まだ私達が本腰入れる時期じゃないからいいんだけど。


「明日の7限でクラスの出し物の話し合いかぁ…」

「遠藤、司会とか…出来る?俺結構そういうの苦手で…」

「うーん…」

正直私は実行委員とかに推薦される方だったし、引っ張っていくのはそんなに苦手じゃない。

「やろうと思えば、出来るかな」

「良かったぁ…俺、前に出て先導したりするの苦手だからさ…」

「そうなんだ…」

だから委員をしたくなかったのもあるのかもしれない。まぁ自分から目立ちたいって人でもなさそうだし。

「テーマは『未来』かぁ…」

1年生は学校の掲示物作り。2年生はアトラクションとやらで3年生は教室にモザイクアートを作るらしい。

それらを『未来』というテーマに沿って作っていく。文化祭前2週間の6限と90分は文化祭準備に使われることになっていて、明日の7限で来週からの準備について構想を練ることになっている。

未来、かぁ…

どうなるか予想のつかなくて、朧気なもの。いつ無くなるか分からないもの。どこまで続いてるから分からないから、怖い。

「難しいね。」

「確かに。」

「誰か案出してくれたらいいんだけどね…出してくれるかな…」

「うん…微妙。」

人によって考えも想いも違うだろうし、まず案を出してくれるような人がうちのクラスにいるのか、まだよく分かっていない。

「どうせなら、表彰されるようなものにしたいよね。それか見た人が楽しめるようなもの。大事なのは作っていて楽しいことかなって思うよ。」

「的確…」

「こういうの、よくやらされてたから」

曖昧に笑む。みんなのやる気を引き出すにはみんなが楽しく出来ることが1番いい気がする。やりたくないことをやるのはエネルギーが結構必要。

みんながやる気をなくしてやらなくなっちゃったら元も子もない。

「そうなんだ。とりあえず、俺も出来るだけ頑張るから。」

「ありがとう。助かるよ」

「…おう。」

「あ、部活結構遅くなっちゃう。じゃあまた」

「また」

部室棟の階段を前に別れる。女子が上で男子が下。急いで着替えて行かなくちゃ。

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