君が遺した最後の手紙は
「バドミントン部、めっちゃ楽しそうだね〜!」
月華の跳ねるような声。テンションが上がっていることがわかりやすい。
「たしかに。雰囲気も凄く良かったもんね」
そう、雰囲気がすごく良かったのだ。気持ちの天秤は、『入部』の方に傾きつつある。入って、しまおうか…。やめておこうか…。
「私バド部に入る。上手く出来るかはわからないけど…先輩たち楽しそうだし頑張れそうな気がしてきた!」
無垢で純粋な笑顔。羨ましいくらいに輝いている。
そして、心の中で「かたん」と音がした。天秤が傾いた。
「…私も、入ろうかな」
「本当っ!?一緒に頑張ろうね!」
月華と一緒ならやれる気がした。あのことを思い出してしまいそうになるけれど、前に進みたいと思った。
「うん、頑張ろう」
「じゃあ行こう!」
「うん!」
「あのこと」を振り返ってもどうにもならない。だから前に進むしかないんだ。