My Happiness
他の男子が囃し立てる中、山本は一回ため息をつくと、質問をしてきた男子を冷たい視線で睨み付けた。

「………馬鹿言うんじゃねぇよ。」

低い声で静かに言った。

山本の様子にクラスは一斉に静まる。

「俺は織原さんに一切関係ねぇからな。勝手な妄想も程々にしやがれ。」

―……………。

全員が山本の気迫に圧され、口を閉じている。


ふと、慧莉は頬を何かが流れたのを感じた。

クルッと顔を外に向け、そっとそれを拭く。


―何で涙なんか…………。


涙を流すまいと手を机の下で握りしめ、寝ている一葉の背中を見つめた。


静まり返った教室を山本が動き自分の席に座る。

山本は一葉の隣の席だ。


同時にクラスは再び騒がしくなったが、山本と慧莉に関する話題を口にする者はいなかった。
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