My Happiness
「速水さん……。けい……織原さんは記憶がないのですか?」


暗く、どこか寂しそうな声だった。

「私は中学で慧莉と会ったけど、慧莉はそれ以前の記憶を持っていなかった。つまり、イエス。」

「そうですか………。」

山本君は苦笑いをして小さく呟いた。

「その方が良いかもな。」

私は、この言葉で山本君が中学以前の慧莉を知っていると勘づいた。

「山本君は、慧莉を知っているんですね?中学より前の。」

「………あぁ。」

更に山本君の声が暗くなる。

「慧莉は、どんな感じだったのですか?」

「…………。」


再び、沈黙になった。
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