My Happiness

―痛いっ!いやっ!痛いっ!

また聞こえる。

女の子の泣き叫ぶ声。

―お…………だっ!

男と女の怒鳴る声。


―嫌……。この夢は嫌っ!



「嫌……い…やだ………嫌っ!」

「織原さんっ!」

慧莉はようやく目を覚ました。

また、息は切れ、涙が流れ落ちている。

「織原さん、大丈夫?」

目の前には白衣を着た若い女の人。

「………志野先生?」


保険の先生は微笑んだ。

「そうよ。大丈夫?」
「はい。」

慧莉はゆっくり起き上がり頭だけを動かし辺りを見渡す。

「ここは……。」
「保健室よ。山本君がここまで抱えてきてくれたの。」

―山本……准弥………。


「そうですか……。」

慧莉はベッドの横に並べてあった上履きを履く。

「今、何時ですか?」
「16時半。もう放課後よ。」
「え………。」

―全部の授業に出てない………。

苦虫を噛んだ様な顔をした慧莉に志野先生は言った。

「大丈夫よ。山本君がノートのコピーと今日の宿題を持ってきてくれたから。ついでに一緒に速水さんが荷物も持って来てくれたわ。」

―速水さん………一葉だ。

志野先生は椅子から立ち上がり、机の上からクリアファイルを机の横から鞄を持ってきた。
クリアファイルの中には数枚の紙が入っている。

「はい。」
「ありがとうございます。」

志野先生がクスッと笑う。

「お礼は山本君と速水さんにしなさい。」
「……はい。」


そして慧莉は保健室を出た。

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