Dangerous boy
私の腕を掴む部長の力が、強くなる。

「痛いです、部長……」

「あっ、すまない。」

部長は、私の腕を離してくれたけれど、もう言われる事は、分かっていた。


「もう、あいつとは会うな!」

激しい口調だった。

「あいつ、碌な男じゃないじゃないか!高杉とだって、遊んでたんだろう?他にもいろんな女と、遊んでるって聞いたし。」

私は部長に、背中を向けた。

「それは、あくまで噂じゃないですか。」

「火のない所に煙は立たぬって言うだろう!あいつには、そう言われる部分が、あるんだよ!」

部長は、私の方を掴み、自分の方へと振り向かせた。


「なあ、倉本。おまえも、あの宮島尚太って言う奴に、騙されてるんだ。」

「私は……騙されてなんか、いません!」

「それがあいつの、作戦なんだよ。いいか。後から騙されてたって、気づいた時にはもう遅いんだ!」

私は、頭を横に振った。
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