Dangerous boy
そうでも言わないと、部長は本気で私を放してくれない。

「ダメだ!絶対、おまえはあいつのところへ行く!」

「っ……」

本心をつかれ、私は頭がおかしくなりそうになった。


「じゃあ、どうしたら放してくれるんですか?」

私はどうしても、この状況から逃れたかった。

「……俺の女に、なるって言ったら。」

「えっ……」

私は思わず、部長の顔を見た。

「俺の女になるって言ったら、放してやる。」


真剣な表情。

部長は本気で、私を自分のモノにしたいんだ。

「……部長の女に、なります。」

そんな言葉くらいで、尚太君の元に行けるんだったら、いくらでも言ってやる。

「部長と付き合います。だから、放して下さい!」

私は部長の体を、強く押した。


「倉本……」

私は部長を睨みつけた。

まさか、上司を睨む日がくるなんて、思ってもみなかった。


「倉本。俺と付き合うって、言ったよな。」
< 127 / 171 >

この作品をシェア

pagetop