Dangerous boy
私は、横を向いた。

「そんな事、放してもらう為の、嘘に決まってるじゃないですか。」

私がそう言うと、部長は私の手を掴み、どこかへ連れて行こうとした。

「ぶ、部長!どこへ行くんですか!」

「いいから、来い!」

そう怒鳴られ、連れて行かれたのは、部長の車だった。


「いや!放して下さい!」

そんな抵抗も虚しく、部長は後部座席のドアを開けると、私を放り込んだ。

「何をするんですか!」

すると部長は、自分も後部座席に乗って、ドアを閉めた。

「口だけじゃなくて……本当に俺のモノにしてやる!」

そう言い放った部長の目は、本気だった。


怖くなってきた。

このまま、車の中で部長に襲われるんじゃないかと思った。


でもそんな中でも部長は……

とても、悲しそうな表情をしていて……


体が震えるくらいに、恐ろしいのに、部長を押しのける事も、蹴る事も、私にはできなかった。
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