Dangerous boy
「いいですよ。」

「えっ……」

「それで部長の気持ちが、治まるのなら……」


部長に同情?

それとも、私の強がり?

ううん、この状況から逃れる為に、やけになったのかもしれない。


「でも気持ちは、部長にあげられません。私の気持ちは、尚太君のモノだから。」

その瞬間、部長の体が私から離れた。

後部座席のドアは開けられ、私の腕は部長に引きずり込まれた。

「部長?」

「……悪かった。」

部長はもう、私と顔を合わせてくれなかった。


「店に行くなら、行けよ。」

わずかに震えている部長の声を聞くと、彼を傷つけてしまったんだと、知ってしまった。

「あのっ!」

「分かった振りして、同情するのは止めてくれ!」

それを聞いて、私の体はビクついた。

「倉本の事、本気で好きなんだ。体だけ、欲しい訳じゃない!」

部長は、車を右手で叩いた。


もしかしたら、本気で傷つけた?
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