Dangerous boy
気持ちを持ち直して、店への道を歩き始めた時だった。

誰かを探す尚太君の姿を、目の前に見つけた。


「尚太君!」

弱々しい声で叫ぶと、尚太君がこっちを向いた。

「心!」

私を見つけた尚太君が、走って来てくれた。

「心、今までどこにいた?」

「どこって……」

まさか、襲われそうになったなんて言えなくて、私は下を向いた。


「心、また泣いてる。」

涙の痕を見つけられて、無意識に指で拭った。

「……もしかして、車に連れ込まれそうになってた人って、心?」

私は驚いて、顔を上げた。

「やっぱりそうなのか?」

「……どうして、それを?」

「お客さんの一人が、教えてくれたんだ。この店のカウンターでよく見る女の子が、車に連れ込まれそうになっているって。」

誰かが見つけてくれて、尚太君に言ってくれたんだ。
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