Dangerous boy
私は仕方なしに、部長の後をついて行った。

会社のすぐそこにある定食屋さんと言うのは、小綺麗な場所で、昔ながらのお店と言った感じだった。

「何がいい?」

「生姜焼き定食で。」

そして案の定、部長はメニュー表を置くと、店員さんに声を掛けた。

「生姜焼き定食、二つ。」

「有難うございます。」

この店の、娘さんだろうか。

軽い調子で、メニューを聞いて行った。


「部長ってこの前も、私と同じメニュー、頼んでいましたよね。」

「ああ。この年になると、何を食べたらいいか、分からなくなるんだよな。」

部長はアラサーだと言うのに、まだ結婚をしていないから、毎日のお昼ご飯や夕食を考えるのは、大変そうだ。

「部長は、毎日夜も外食ですか?」

「うーん。ほとんどそうだな。で、たまに弁当買って帰ったり。」

「それじゃあ、食べたい物も無くなりますね。」
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