Dangerous boy
経済的に余裕がなくて、ほとんど自炊している私には、反って羨ましい生活だ。

「倉本は、自炊か?」

「はい。自炊です。」

「へえ、料理するんだ。」

「簡単な物しか、作れませんよ。」

何かを期待しているような気がして、先手を打ったと思った。


「高杉も、一人暮らしだっけ?」

その時、私はピンときた。

「はい。」

「あいつは、自炊しなさそうだな。」

私は、クスクスと笑った。


「高杉と、何かあったのか?」

その隙をついて、部長に聞かれてしまった。

「いいえ。」

「ウソつくな。見れば分かる。」

なんで私の周りの人は、こう勘がいい人ばかりなんだろう。


「尚太君との事が、バレたんです。」

「そうなのか。」

部長は、意外と驚いていない。

「高杉は、あのバーテンの事。どのくらい好きだったんだ?」

「本気で、好きだったんだと思います。」

「そうか……」
< 147 / 171 >

この作品をシェア

pagetop