Dangerous boy
「はい。環奈、部長の事、気に入っているみたいなんで。」

部長が一瞬、箸を止めた事を、見逃さなかった。

部長は部長で、思い当たる事があるのだろう。

「そう……か……」

でも、部長からの返事は、それだけ。


部長が環奈の事、どう思っているから、聞きだせなかった。


「ご馳走様でした。」

案の定、部長に定食をご馳走になってしまった。

この前のお詫びだからと、言われて。

「じゃあ、有難うございます。」

一緒にオフィスに戻ると、また変な噂が立つから、別々に戻る事にした。

「ああ、倉本。」

「はい。」

振り返った部長は、何だか嬉しそうだった。

私が普通に振り返ったのが、嬉しかったんだと思う。


「高杉の事は、俺に任せておけ。」

「……はい。」

尚太君には、叱られるかもしれないけれど、ここは部長の事を許して、味方にしておいた方がいいと思った。

「じゃあ。」

「また。」
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