Dangerous boy
「素直じゃないのよね。」

「うるせー。」

抵抗しているはずなのに、駄々をこねる少年みたいに見える。

そしてその駄々っ子少年は、キッチンへと姿を消してしまった。


「あらら。心ちゃんに飲み物も出さないで、行っちゃった。」

紗和子さんは、カウンターの椅子に座ると、私も隣に座るように手を添えた。

「……失礼します。」

その丁寧な仕草に、吸い寄せられるように、隣に座った。

「あの子、心ちゃんの事は大事にしている?」

「はい。とても大切にしてもらっています。」

「そう、よかった。」

尚太君は、血が繋がっていないから、母親じゃないと言ったけれど、私にはこの人こそが、尚太君の本当の親に見えた。


「あの……」

「なあに?」

その”なあに?”と聞くところ、尚太君に似ている。

「……尚太君は、紗和子さんと血が繋がっていないって言ってましたが……」

「ああ、その事ね。」
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