Dangerous boy
「心ちゃん、あの子ね。私が拾った子なのよ。」

「えっ……」

拾った?

その言葉が、私は衝撃的だった。


「私は、映画のプロデューサーをしているんだけど、ある撮影現場でね、毎日撮影を見ていた子供がいたの。」

紗和子さんは、その時の様子を思い出すかのように、一点をずっと見つめていた。

「毎日、毎日一人だった。それが気になってね。ある時、お母さんは?って聞いたら、いないって答えて……他に家族は?お父さんは?おじいさん、おばあさん、お兄ちゃんやお姉ちゃんは?って聞いた。そうしたら、誰もいない。僕一人って言うの。」


私は、接客をしている尚太君を見た。

尚太君は、お客さんに笑いかけていた。

その笑顔が、やけに苦しく思えた。


「次の日、一緒に住んでいる家にいったわ。驚いた事に、本当に一人で住んでいたの。ある日、お母さんが出て行って、その後もお父さんが出て行ったって。」
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