Dangerous boy
小暮さんが、あの休憩室の時のように、後ろから尚太君を押さえる。

「あんた、医者なんだろう?どうにかして、治せよ!」

そんなふうに言われて、お医者さんも困っている。

「尚太、落ち着け!」

「落ち着けないだろう!こんな状態で!」

「まだ歩けないって、決まった訳じゃない!」

小暮さんに言われ、尚太君はお医者さんから、手を放した。


解放されたお医者さんは、一礼をして私達の元から、去って行った。

「尚太。医者だって、人間なんだ。どうにもできない事だって、あるんだよ。」

「あんたはいつも、そうだよ。」

尚太君は、壁を右足で蹴った。

「冷静な振りして、本当はどうでもいいんだよ。」

「そんな訳ないだろう!」

否定した小暮さんに、尚太君は掴みかかった。


「じゃあ、あんたは歩けなくなった紗和子さんの人生を、背負えるのかよ。」

小暮さんの胸ぐらを掴んでいると言うのに、尚太君は涙ぐみながら、下を向いている。
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