Dangerous boy
聞いてしまった。

尚太君の本心。


- 知ってるだろう?俺が紗和子さんの事を -


あの言葉の続きは、何?

大事に思っている事。

好きだって言う事。

だったら小暮さんは、私がいるからって、止めたりしないよね。


答えは、『愛している。』だ。


いつかの、優花さんの言葉を思い出す。

- 尚太は、誰も愛せない -

そうだね。

だって、紗和子さんの事を、愛しているから。


なぜそんな事、今まで知らなかったんだろう。

なぜそんな事、このタイミングで知るんだろう。

自分の馬鹿さ加減と、あまりの衝撃の事実に、私は走りだした。


「心ちゃん!」

小暮さんの声はしたけれど、尚太君の声はしなかった。

それが、私への答えなんだ。
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