Dangerous boy
諦めるしかないの?

「あれ?心ちゃん?」

そんな時に、一番最悪な人に、声を掛けられた。

紗和子さんだ。


私は違う人ですと言わんばかりに、背中を向けた。

「見舞いに来てくれたのか?心ちゃん。」

次に聞こえてきた小暮さんの声に、私は急に振り返った。

「よお!」

よりによって小暮さんは、私に手を振っている。


よく見ると、紗和子さんは車椅子に乗っていて、それを小暮さんが押している。

そして、紗和子さんの薬指には、婚約指輪が!?


私は怒って、立ち上がった。

「心ちゃん?」

そのままツカツカと歩いて、紗和子さんの前に立った。

「何やってるんですか?」

「何って、散歩を……」

「そう言う事じゃ、ありません!」

私の怒りは、最高潮に膨れ上がった。


「落ち着こうよ、心ちゃん。」

「小暮さんは、黙っててください!」

怒鳴った私に、小暮さんは両手を上に挙げた。
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