Dangerous boy
仕事が終わり、会社の同僚たちが次々と帰って行く。

部長がまだ仕事をしているから、私も軽く残業する。

この一年で何となく気づいた、空気を読む力。


最後の同僚が、部長に『お疲れ様です。』って言って帰って後、しばらくして部長はパソコンを閉じた。

どうやら、私と二人きりになるのを、待っていたらしい。


「倉本、仕事終わったか?」

「あっ、はい。」

例の話の件かと思い、私は立ち上がって、部長の席へ向かおうとした。

でも部長も一緒に、立ち上がる。

「ここで話すのもなんだから、外で飲みながら話そうか。」

「……はい。」

何の話だろうと思いながら、私もパソコンをシャットダウンする。


「何か、食べたい物あるか?」

「えっ?」

いつもは厳しい部長が、優しい顔してる。

何か、気が狂う。

「いえ……特には……」

「そっか。俺のおすすめの店でいいか?」

「はい?」
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