Dangerous boy
「おやすみなさい。」

「おやすみ、倉本。」

タクシーのドアが閉まり、高藤部長は帰って行った。


はぁーっと、ため息をついた。

今日は、いろんな事があり過ぎた。

さっき部長にキスされた頬を、手で押さえながら、家までの道を歩いた。

私の実家は別な地方にあって、ここでは一人暮らしをしている。

住んでいるところは、小さなマンション。

しかもオートロックもない、エレベーターもない、古い建物。


マンションの入り口から入って、郵便物を見る。

何もない事を確認し、部屋のある2階まで、階段で上がる。

玄関まで来ると、鍵を出して部屋の中に入った。

私はカバンの中にあるスマホを、取り出した。


部長のLineを探して、文字を打った。

【今日は、ご馳走様でした。】

奢って貰ったら、お礼の言葉を送る。

社会人の常識だと知ったのは、ここ数か月の事だ。


スーツの上着を脱ぎ、ハンガーにかける。
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