Dangerous boy
こんな扱い、初めてだ。

「何、飲む?」

メニュー表を片手に、足を組む部長は、ものすごくカッコいい。

「あの……私、あまりお酒飲めなくて……」

「じゃあ、カクテルにする?」

私は、顔を上げた。

部長は、微笑みながら私を見ている。


そう。

いつもこのセリフを言うと、”意外だね””飲みそうなのに”と言われるのに。


「はい。」

「何がいい?」

「ああ、カシスオレンジで。」

「分かった。」

この会話も、いつもなら”ジュースかよ”って、バカにされるのに。


「俺、ワインにしようかな。」

「ワイン!?」

私があまりに驚くから、部長はポカーンとしている。

なんだかワインって、とても大人な感じがする。

「えっ……ワインって、そんなに珍しい?」

「すみません。私の周りには、ワイン飲む人って、いないので。」

私は必死に、言い訳をした。

「そっか。まだ大学出て2年目だもんな。」
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