Dangerous boy
オーナーさんのご厚意で、私はお店への階段を昇った。

不思議な緊張感と、不思議な安堵感がマーブル状に、入り混じる。


「ここでいいですか?」

オーナーが用意してくれた席は、カウンターの一番手前だった。

「はい。」

私は遠慮なく、その席に座った。

「じゃあ、俺は開店の準備してるから、ゆっくりしててください。」

「はい、有難うございます。」

私がお礼を言うと、オーナーさんは、ポケットから名刺を出した。

「自己紹介遅れてごめんなさい。俺、この店のオーナーやってます、小暮和彦って言います。」

名刺を見ると、”和彦”って書いてある。

「これで、ワヒコさんって読むんですか?」

「そう、珍しいでしょ。でも、直ぐに覚えて貰える。」

そう言って両手で私に指さす小暮さんは、尚太君とは反対に、陽気な人なんだと思う。


「尚太とはね、あいつが小学校の時からの、付き合いなんだ。」

「そうなんですか?」
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