Dangerous boy
尚太君が小学生の時って、どんな子供だったんだろう。

想像するだけで、笑えてくる。

「で?お客さんは、何ちゃん?」

「あっ、ごめんなさい。」

私は、席から立ち上がった。


「倉本心と言います。宜しくお願いします。」

ありきたりな自己紹介。

地味だったかな。

「心ちゃんね。あいつ、女の子が店に来ても、基本スルーなんだけど、心ちゃんだけは迎えに来たんだよね。」

「えっ……」


この前、お店に来た時の、尚太君を思い出す。

- オーナー その人、俺のお客さん -

- 心だけだよ -


また、胸が熱くなってくる。

環奈の言う事が、嘘だって信じたくなってくる。


「だから、心ちゃん。あいつの事、宜しく頼むよ。」

「……はい。」

このまま引き受けたい。

尚太君と、支え合って生きていきたい。


でも心のどこかで、それに待ったをかける人がいる。

それがなぜなのか、私は確かめる為に、ここに来た。
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