Dangerous boy
「ちょっと、尚太君!話は終わってない!」

尚太君を追いかけようとした私を、音緒さんが止める。

「心ちゃん。私は、尚太の姉みたいなものだよ。彼女とか、そう言うんじゃないからさ、安心して。」

音緒さんは、念を押すかのように、私の背中を摩る。

そしてキッチンへ行って、尚太君を説得してくれた。


「分かったよ。」

返事をした尚太君は、再び私のところへ来てくれた。

「外に行こう。」

「うん。」

お店のドアを開けた尚太君の後を追いかけて、私はお店の外に出た。

尚太君は、少し怒っているように、足音を鳴らしながら、階段を降りて行く。


もしかして、私いけない事した?

でも、環奈の事はっきりさせないと、私だってこの先に進めない。


当事者の尚太君は、階段を降りた後、その後ろに回って、私がそこに来た事を確かめると、クルッと振り向いた。

「環奈の事だけど。」

尚太君のいつもの、先手を打つ方法。
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