Dangerous boy
環奈を家まで送って行って、彼女の泣き疲れながら眠った顔を、じっと見ていた。

私は、尚太君にプレゼントをあげたり、一緒に出掛けたりなんかしていない。

していないけれど、尚太君に惹かれているのは、事実だし。

それよりも……


尚太君は、私に気があるのだと思っていた。


もし環奈のように、『心は、大事なお客さんの一人だよ。』と言われたら、私はどうなるのだろう。

泣き叫んで、泣き叫んで、”あいつは悪魔よ”と皮肉って、環奈のように、泣き疲れて眠ってしまうんだろうか。


私は両足を抱き寄せ、その中に自分の顔を埋めた。

その時だった。

【心、大丈夫?】

尚太君からの、Lineだった。


もう、関わりたくないと思っていたのに、その一言が嬉しい。

【大丈夫。】

そう打って、私は送信ボタンを押せなかった。

このまま、この言葉を送ってしまったら、それで終わるんじゃないか。
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