Dangerous boy
そう考えると、私の指は勝手に、別な言葉を打っていた。

【大丈夫じゃない。】

そして、尚太君にそれを送り付けた。


確信犯。

今の尚太君だったら、私になら甘い言葉をくれる。

そう成り上がった証拠。

自分の事も、嫌になる。


そして、直ぐに返ってきた尚太君の答え。

【俺が、慰めてあげるよ。】

【どこ?心のいる場所に行く。】

【俺を信じて。】

【俺はいつも、心の側にいる。】


私の目からは、大粒の涙が流れていた。

この人は、友達を傷つけた人。

平気で女の人を、連れて歩く人。

簡単に、こんな言葉を吐ける人。


なのに、こんなにも、私の気持ちを揺さぶる人。


私は、涙を拭いた。

「環奈、ごめん。私、行くね。」

聞いているかどうか、分からないけれど、環奈に一声かけて、私は環奈の家を後にした。

尚太君に会いたい。

尚太君の側にいたい。

その気持ちだけが、今の私を支配していた。
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