Dangerous boy
そしてふいに、お店のドアのベルが鳴る。

「尚太君、お客様……」

「ああ、私。客じゃないから。」

そう言って、尚太君と同じくらいの女の子は、真っすぐにキッチンへと入って行った。

もしかして、アルバイトの子かな。

その想像も虚しく、その女の子と尚太君は、ホールにやってきた。


「ねえ、聞いてるの?尚太。」

「聞いてるよ。」

「どうして大学に来ないの?紗和子さんも、心配してるよ?」

話を聞いた感じでは、二人は大学の同級生?


「単位も足りないし。このままじゃあ、留年だよ?」

「そうしたら、大学辞めるよ。」

「また、そんな事言う。紗和子さんが、どんな思いで、尚太を育てたか、分かるの?」


私は、立ち入ったらいけないような気がした。

この女の子も、ただの大学の友達ではなく、もっと近い間柄のようだ。

そしてその女の子は、俯いている私に気づいた。

「お客さん?」
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