完璧美女の欠けてるパーツ
初めては重いのか。
早く経験したい。
でも
すんごく痛いらしい。
中学高校のガールズトークでその話は出た。
痛くて身体がズルズルと上に上がって逃げるとか
これ以上ないくらいの痛みとか
最初は地獄とか。
血液検査で貧血を起こす梨乃には、その痛みが本当に怖かった。
内容が内容だけに、眞子にしか相談できないのが恥ずかしく苦しい。
「あまり考えすぎなくてもいいよ」
眞子は梨乃の頭をポンポンと撫でる。
「もう結婚まで守りな」
「初夜で痛くて暴れるかもしれないよ私」
「ま……そこまで行けばギャグだな。ユーチューブにアップして私に見せて」
「経験ないなんて、性格が悪くて誰にも愛されなくてここまできたと思われるよ」
「そんな男と付き合わなきゃいいんだよ」
「だって誰も声かけてくれないんだもの。好きになっても本気にしてくれないし」
「本気度足りないんだよ。あれはどーした?ほら、須藤だか高木だか」
「須藤君は美優ちゃんが『私、須藤君が好きだから応援してね』宣言されて、高木君に勇気を出してランチに誘ったら『梨乃とツーショットは緊張するから、他も誘っていい?』って言われた。きっとまだ極道の女説が流れてるかもしれない、単純に嫌われてるだけかもしれない。どこか私に悪い所があるのかも」
泣きそうになっていると、眞子が梨乃の肩を優しく包む。
「違うよ。梨乃は優しくて大人しくていい子。ただ美人過ぎるだけ」
「眞子」
「そのうち絶対いい人でてくるから」
そう言われて
来月のクリスマスで
梨乃は30歳になる。