完璧美女の欠けてるパーツ
作戦会議


金曜の夜。
個室居酒屋で鈴木と作戦会議を開く。

先日のレトロな喫茶店では鈴木は固まり「絶対無理です!」と半泣きで怯えソファの隅に身体を丸めて震えていた。

「ですよね」
急にこんな話をするなんて相手も迷惑だ。
ため息と共に言葉を吐きだし席を立とうとすると

「でも……もう少しお話を聞かせてもらえますか?一緒に考えましょう」そう鈴木は梨乃を引き止めた。

「どうして?」
どうして
こんな妙な話を聞いてくれるの?

「そんな悲しい顔見たら、協力したいと思って」
心配顔で言ってくれる。
「お話だけ聞かせて下さい。秘密事項は守ります。とにかく少し話をしましょう。解決策がきっとあります」
梨乃は鈴木の目を見て「お願いします」と返事をした。




そして今
ハイボールを交わし作戦会議が始まる。
梨乃は親友にしか話せなかった自分の悩みを鈴木に言うと、今度は表情も変えず真面目に梨乃の話を聞いている。

「梨乃さんの希望は、来月の誕生日前に男性と経験をしたいのですね」

「はい捨てたいです。鈴木さんでもいいです」
でもいいです……というのは失礼だった。

「全てを聞いた僕なら話は早いのですが、僕には森田さんを抱く自信がありません」

「鈴木さんは男性が好きとか?」
素直に聞くと鈴木はハイボールを吹き出した。

「ちっ……違います!知り合ったばかりの方と、こんな綺麗な女性を抱く自信がありません」

「それが迷惑で、私はいまだに未経験なんです」

「でも、それが悪いとは思いませんよ僕は」

「鈴木さんは悪く思わないけど、一般的な男性にとって未経験アラサー女子は重いんです!」

「一般的って……」

「重いんです。捨てたいんです。誰でもいいんです。出会い系サイトも考えてます」

「それはダメですっ!!!」

「女性用デリヘルもあるらしいです。お金出したら普通のデートから一晩貸し切って色々なテクニックを使って気持ち良く抱いてくれるサービスで」

「森田さんっ!!!」

「大人のおもちゃを使って初心者でも痛くしない……」

「もりたさーーーーん!!!!!」

正直に言えば言うほど鈴木は胸を押さえて梨乃の言葉を遮る。


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