完璧美女の欠けてるパーツ

ご丁寧にハンカチを洗って返してくれたので、ダメ元で一生に一度の勇気を出して誘ったランチにのってくれたから、僕は舞い上がってしまい、サラリーマンがスポーツ新聞を読みながら食べるようなムードもなにもない、オシャレさ(ゼロ)のいつも利用する喫茶店に連れて行ってしまった。
あとから職場の女の子達に「あんな綺麗な人とランチなのに、どーしてそこ?」って呆れられ、男達はニヤニヤしながら「さすが鈴木せんせー」とからかわれる。あぁ僕は詰めが甘い。
それでも梨乃さんは喜んで「おいしい」と言ってくれたから、僕は救われた気分になった。

でも話をしていると
なぜか悩み相談みたいな雰囲気になっていて、自虐っぽく笑いながら真剣に悩んでいるのが気になり、僕は助けてあげたい気持ちになって、口が重い梨乃さんに悩みを教えてもらったら、いきなり

「抱いて下さい」と言われ

もうこれは
たちの悪すぎる冗談じゃないかと本気で思った。
忘年会で使うネタみたいなやつで、どこかにカメラがあるかもしれない。梨乃さんは誰かに頼まれて僕をだましているんじゃないかと思うのが普通だった。

ありえないだろう。
抱いて下さいなんて。

でも彼女が苦しそうな顔をしていたのが気になって、話を聞いて驚く。

まったく
世の中には色々な人がいる。
こんなに綺麗なのに
いや、綺麗なのが悪いのか。

梨乃さんの力になりたくて、掘り下げた話を居酒屋で聞けば聞くほど気の毒になってしまうけど、彼女の突っ走る姿はかなりヤバかった。
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