完璧美女の欠けてるパーツ
「29階の山口さんはバリバリ営業マンって感じで好き。顔が濃いけどグイグイ引っ張ってくれそう。外資系一流企業だから収入もいいよね」
29階は梨乃さんと同じ会社だな。
「33階のIT企業の社長さんはラフだけどいい感じだよね」
「大岸社長は有望株ですよー。アパレルにも手を出してます」
「4階だけどデンタルクリニックの先生もいいよね」
「やっぱり法律事務所でしょう。35階は弁護士の先生達がイケメンで金持ちオーラあるもん」
そしてうっとりとため息をする女子達。
査定厳しい。うちの会社も先生と呼ばれる税理士が数名いるけど、弁護士には勝てないのか。勝負にすんなよと彼女達に鼻で笑われそうな空気が流れてるし。しかし……僕達が「あの子可愛いよなー」の次元ではない、色々な名前が出て来て驚いて感心してしまう。
僕はメモを取りながら彼女達にお礼を言い、次の梨乃さんとの作戦会議までに、さりげなく隠し撮りなどできる人にはして、ファイルを作って8人絞り込んだ。ただ書類上の話しだから、一番知りたい性格がつかめないのが残念である。梨乃さんに見てもらって、気に入った人をもう少し掘り下げて観察するしかない。
二回目の作戦会議で8人の資料を渡したけど、梨乃さんは首を傾げてむずかしい顔をしていた。隠し撮りも素人なので、上手く撮れなかったのが原因なら申し訳ない。
それでも
前回よりは前向きになり、これから頑張ろう、一歩前進だと、ポジティブ思考でハイボールを飲みながら楽しい時間を僕達は過ごした。
梨乃さんは酒に強く「可愛く酔ってみたいのに」と言うけれど、僕からみればそんな姿も可愛くて、綺麗だけれど可愛くて、話をすればするほど彼女の魅力が溢れ出し、僕は完全に溺れてしまう。