完璧美女の欠けてるパーツ
『クリスマスイブの夜、一緒に過ごしませんか?』
スマホ越しから自然に流れるような誘いが届いた。
『ヘリから夜景を観て、朝まで梨乃さんと過ごしたい』
「でも、まだ……お会いしたばかりで」
いきなり朝まで発言を聞き、梨乃はためらう。
『時間なんて関係ない。もし梨乃さんが気になるなら、毎日でも会いましょう。毎日梨乃さんの顔を見に行きますよ』
自信家ハイスペックはグイグイ押してくる。
「ありがとうございます。私も高崎さんと話をするのが楽しみです」
私の場合は身体目当てですが……と、正直に言えたらどんなに楽だろうと梨乃は思った。
すると『やった!』と嬉しそうな声が聞こえたので、クスッと梨乃は笑う。
それからもう少し話をして、クリスマスイブの約束を再びしてから電話を切った。
これは
もう
ヤレる。
確信したようにホッとしながら、梨乃は疲れを感じていた。
どうして疲れるんだろう。
悪い人ではない。ハイスペックだし、大志さんも喜んでくれるだろう。
目的達成できる。
明日、きちんと話をして作戦室は解散終了。
もう大丈夫。
きっと……たぶん……大丈夫だけど、達成感がない。
どうしてこんなに虚しいのだろう
梨乃はため息をしてその夜を過ごした。