完璧美女の欠けてるパーツ
ひとりの方がどうも見覚えがある。
ブランド物のスポーツウェアを着てうっすら汗などかいていて、イケメンキラキラハイスペックオーラがただ漏れしていて、すれ違う女の人達が嬉しそうに挨拶している。
レベルが違う。
でもどこかで……あっ!あれは梨乃さんの彼氏!
梨乃さんが捨てる相手!
ハイスペック弁護士!
急に大志は思い出し、心臓をバクバクさせながら長身の身体を小さくさせて、聞こえる会話を集中して聞きまくる。
「今年も彼女といつものヘリで夜景?」
「まぁね」
楽しそうに笑って会話をしている。
今年も……って嫌な言葉だな。
「すごい美人捕まえたってウワサだけど」
「たしかに凄い美人だけど……」
「おっ?問題あり?」
「普通の美人で、もの足りない」
「ぜいたくな悩みだなぁ」
笑っているイケメン達に隠れながら、大志の心は妙にざわつく。普通の美人でもの足りない?梨乃さんのことだと思うけど、もの足りないって何?意味わかんないんだけどと、頭の中をグルグルさせて引き続き隠れて話を聞く。
「物欲はないし、甘えてこないし。うーん……顔と身体は最上級だから、とりあえず抱いてみるけど」
とりあえず抱く発言に、大志の頭の中のグルグルは超最速となる。