完璧美女の欠けてるパーツ
合コンにも誘われず
気になる人ができても相手に冗談としか思われない。
大学3年に何でも話ができる、ちょっと変わった小河原眞子という子と知り合い友達になって相談すると。
「いっそ割り切って、パパ活からのキャバ嬢コースで目標は銀座のママ」
そう言われて死んだ魚の目になってしまう。
そこじゃない。
そこじゃないんだ。
私はただ青春したいだけなのに。
肩を落とす梨乃に眞子は「聞きずらいけど男性経験はないの?」と聞いてきたのでうなずく。
眞子は「ゲッ!」と怯えて「ありえねーし」と首を横に振る。
肩で切りそろえたピンクの髪がブンブンと揺れていた。
「重いよねー」
自分で言って自分の心が重くなる。
先月
偶然、同じ講義を受ける男子が立ち話をしていたのを聞いてしまった。
『いまさら、初めてですって重いよなー』
『ラッキー!』
『ばーか。こっちも気を使うんだよ』
『あー確かに。そっからが重いよなー』
『痛がって入んねーし』
『そこまでのお前の技術が足りねーし』
そこで盛り上がって爆笑が入る。
『俺も初めてって嫌だなー。そこまで経験ないと引くわー』
『楽しめないっしょ』
そしてまた爆笑。
梨乃は気持ちが重くなり
待ち合わせしていた友達に「頭痛がする」と言って休講した。
すれ違いざまさっきまで盛り上がっていた男子達が「大丈夫?」「医務室まで一緒に行こうか?」と本当に心配そうに言ってくれたけど、もう顔も見たくないので拒否をした。