甘味好き御曹司とお見合い結婚!?
「あのスケッチのドレスは本当に夏乃を思ってデザインされてるもの。あれを着た夏乃を見てひ孫抱くまで死ねないわ。だから、夏乃。お祖母ちゃんの知り合いの息子さんとお見合いしてみない?」
突然のお見合い発言に、私はぽかんと口を開けてしまう。
「ほら、今回みたいなことがあるとやっぱり夏乃が心配だから……。そろそろ出会いがないなら出会いを探すのもありだと思うのよ?」
祖母もどうやら今回倒れたことで、のちのちは私を一人にしてしまうことに思い至ったようで、その心配を解消して、念願のひ孫を抱きたいという夢をかなえる一石二鳥の選択にお見合いが浮上したようだ。
「いや、知り合いの息子さんって……。そんなこと相手もいきなり言われたら困るでしょう? どんなお知り合いか知らないけれど」
私の言葉に祖母はコロッと笑って答えた。
「私のお教室に長年通ってくれてる生徒さんで、ここ数年はアシスタントをしてくれてる弥生さん。あなたも会ったことあるでしょう?」
そういわれて、思い出すのは品のある優しく朗らかに笑う女性。見た目は五十台なんだけれど実は還暦超えてると言われた時にはびっくりした記憶がある。
確か、息子さんが二人いて、長男は結婚しているし、孫もいるんだけれど家業を継がない次男がまだ独身で結婚の気配もなく困ってるなんて言っていたような……。