甘味好き御曹司とお見合い結婚!?
お見合い相手はアノ人!?
そんなこんなで、気持ちは落ち着かないままに迎えた週末。
私は今日も定番のお菓子と日替わりデザートを作って、お出しする前の仕上げや飾りをしてはホールスタッフに渡す。
仕事に不備はないけれど、いつ来るんだろうとソワソワと落ち着きのない私に理紗さんがとうとう聞いてきた。
「夏乃ちゃん、今日どうしたの? そんなに落ち着きのない夏乃ちゃんは初めて見るわ」
そういえば、顔合わせ会場に勝手にされちゃってるのに、話すの忘れていたなと思って理紗さんに話そうとするとニヤニヤとしている理紗さんに、私は脱力気味に言った。
「理紗さん、お祖母ちゃんに聞いたでしょう?」
そう言えば、ニコニコと頷いて理紗さんは言った。
「そのえさんからメッセージが来て、お店でお見合い相手と待ち合わせしてるから顔出させてやってくれって来たの。楽しみで楽しみで」
ニコニコ顔の理紗さんは、こっちにはお構いなしで楽しそう。
「まぁ、夏乃ちゃんもそんなに緊張せずにね。きっとあなたも彼も互いに気になってたんだから大丈夫よ」
訳知り顔で理紗さんは言うと、ワインセラーに向かっていった。
お祖母ちゃんは私にはそんなに詳しく言わなかったけれど、理紗さんはお相手を知ってるような口ぶりだった。
私はお店によく来てるとは聞いているけど、よくわからないのになんで?
そう思いつつも、仕事はちょこちょこ入るので、集中しているうちにすっかりお見合いの話が隅っこにいっていたのに、二時間後ディナーの時間の中盤。
私は早々に片付けが終わったころ、ニコッと笑った理紗さんに手を引かれてホールに連れられて行くと、そこには常連のスーツのイケメンさんが居たのだった。