甘味好き御曹司とお見合い結婚!?
ランチタイムの最後のお客さんだったので、高峰さんがお会計に来た時理紗さんが私を呼んでくれた。
「夏乃ちゃん、ちょっといらっしゃい」
その呼びかけに答えてレジのほうに行くと高峰さんが柔らかい笑顔を浮かべて、私に声をかけてきた。
「夏乃さん、来週のお休みはいつですか?」
その問いに私は少し疑問に思いつつも答える。
「来週は定休日の火曜と木曜がお休みです」
私の答えに高峰さんは自身のスマホをサッとタップして確かめると、顔を上げてニコッと笑うと決定事項風に告げた。
「では、来週の木曜日に一緒に食事に行きましょう。デートのお約束、しましたよね?」
確かに、お祖母ちゃんの容態が落ち着いたらという話はしていた。こんなに早く誘われるとは思っていなくってちょっとびっくりしてしまうと、高峰さんはそんな私に小首をかしげて尋ねる。
「お休みにもう、なにか予定がありましたか?」
ちょっと寂しそうな顔に、私は慌てて返事をした。
「いえ、予定なんてなにもないので大丈夫です。そうしたら、ここの駅前に十八時で大丈夫ですか?」
私の返事にパッと顔を明るくして高峰さんはにこやかに答えた。
「えぇ、大丈夫です。来週の木曜十八時に迎えに来ます。これで、俺は約束の日まで全力で仕事ができます」
なんて真面目な顔していう高峰さんに、私は思わず目を見開きつつクスッと笑うと高峰さんも笑って言った。
「それまではメッセージで我慢します。もし、行きたいところや食べたいものがあったら教えてくださいね」
そうして、この日お見合い相手としてやり取りをしていた高峰さんとお店以外で初めて会う約束を交わしたのだった。