甘味好き御曹司とお見合い結婚!?
そんな私の言葉に、ふーっと長く息を吐くと和美は言った。
「夏乃のお祖母ちゃんは結構有名な華道の師範だけれど、そんな上場企業の奥様も生徒さんにいたのね」
「そうなの、私も驚いた。そして、かなりの段取りの良さであっという間に顔合わせをしちゃったの」
そんな私たちの会話に、すっかりお客さんが減ったホールの片付けをしていた理紗さんと、夜のホールの担当の真帆さんがニコニコと言う。
「ここ一年くらい週一で通ってくれる常連さんで、和美ちゃんと同じくらい甘いものに目がないスイーツ男子って感じかしらね」
「しかも、半年くらい前から夏乃ちゃんをいつも目線で探しては楽しそうにホールから眺めてたわね」
そんな話は初めて聞くので驚くと、理紗さんと真帆さんはニコニコと言った。
「うちのお店では、ホールスタッフと理紗さんでこれは彼は夏乃ちゃんに気があるねって話になってたのよ」
「夏乃ちゃんを気に掛けることを隠そうともしてなかったものね」
などなど、驚きの情報が次々と上がってきて、私はちょっとばかり混乱気味だ。
「へぇ、夏乃に目をつけるなんて見どころのある人じゃない。気に入ったわ。夏乃を可愛く全力で送り出しましょう!」
どうやら、ここに新たにこのお見合い推進係が増えてしまったようだった。
そうして、ラズさんに作ってもらったピザをシェアして夕飯を食べ終えると一緒に帰宅して、家ではそのまま酒盛りしつつゆっくりのんびり翌日は起床した。
和美はちょこちょこ家に泊まりに来るので、急に朝から居てもお祖母ちゃんも驚かない。
「お祖母ちゃん、おはようございます。お加減はいかがですか?」
朝、リビングで顔を合わせた和美はすぐさまお祖母ちゃんにそう問いかけると、お祖母ちゃんはニコニコと微笑んで答えた。
「手術後の経過もいいし、日常に戻って構わないっていうから来週から教室も再開するよ。 心配してくれてありがとうね」
「夏乃のお祖母ちゃんは私にとっても大事なだもの。心配するよ! もっと長生きしてくれなきゃ困るからね!」
そんな二人のやり取りをしり目に、お祖母ちゃんが作ってくれてたお味噌汁を温めなおして、卵焼きに焼き魚にほうれん草のお浸しにきゅうりとなすの浅漬けでご飯になった。