甘味好き御曹司とお見合い結婚!?
二時間ほど早く電車に乗っていれば、きっと母校の後輩の姿が見れたと思う。あの頃からそろそろ十年になるなんて、時間が経つのは早い。
あの頃は今の年齢になったらすごく大人だと思ってたけれど、意外にその頃に考えてたほど大人になってないし、結婚もしてないし、子どももいない。
昨今は晩婚化しているから遅いってわけじゃないけれど、昔は両親が早くに結婚して私が生まれていたため、漠然と二十五歳位で結婚すると思っていた。
思い込みって怖いもので、その歳の頃には少し焦ったりもしたけれど、結局過ぎてしまえばどうということも無く、むしろ早くなくていいとまでなってしまった。
考えも変わるものなのだなと、ここ数年は感じるようになった。
和美と話しつつもあれこれ考えているうちにショッピングモールの最寄り駅に着いたので、電車をおりてショッピングモールを目指して和美と歩き出したのだった。
駅から見える距離にあるショッピングモールまでは歩いて五分ほど。
話しつつ歩けばあっという間に着いてしまう距離だった。
ショッピングモールは三階建てで、大きく楕円形になっており真ん中は吹き抜けになっている。 大きなドーナッツのような作りの中に沢山のショップが入っている。
「さ、夏乃。サクサクと買い物して次はパンケーキなんだからね!」
どうやら、和美は今日のパンケーキをとっても楽しみにしていたみたいだ。
「そうね、そんなに気合いを入れなくっていいから、サクッと済ませよう」
そんな私の返事にカッと目を見開くと、ガシッと肩を掴むとにこやかに言った。
「サクッと済ませるが、それは手抜きという意味ではないわよ? 私がコーディネートに妥協するわけが無いでしょう?」