甘味好き御曹司とお見合い結婚!?
少し休んで、再びショッピングモール内をブラブラと見て周り、アクセサリーや可愛い帽子、カバンなどを見て周りデート服以外にも普段使いの服も買ったりして気づけばショップバックはもりもりで、午後のお茶休憩に入ったお店でなんとか大きめの物にまとめたりしてスッキリさせた。
「いやー、買ったわ」
「ほんとにね、こんなに買うとは思ってなかったけど楽しかったわ」
今回は既にショッピングモールを出て、駅近くの喫茶店で休憩中。
和美はアップルパイとレモンティー、私はチーズケーキとコーヒーを頼んだ。
「一緒に買い物するのも、なんだかんだ久しぶりよね。楽しかったわ」
和美は満足そうに言いながら、美味しいそうにアップルパイを頬張っている。
「そう言えば、仕事初めてからはなかなか休日がガッチリ合うこともなくなってこういう買い物は久しぶりだったね」
会社で秘書をしている和美は基本土日休み、私は飲食業なので基本平日休みだ。
会ってはいても、夜にとか、早くても夕方からとかで丸一日って言うのは珍しい。
それでも、毎月一度は会っていたのだから私たちは結構な仲良しだと思う。
「さ、あとは明後日のデートの報告を楽しみにしているわね」
和美の笑顔は現在有無を言わせない圧力がこもっている……。
これだけお出かけ用に協力してもらっているので、話さないってことはないが、いつも聞き手だった私が話す方になるのはなんだか気恥ずかしかった。
そんな時、ふっと店から外を見たら外の通りをいつもの様に隙なくスーツを着こなした高峰さんともう一人男の人と女の人が一緒に歩いていった。
女性はパンツスーツが良く似合う、細身でスラッとした綺麗な人で、高峰さんたちは穏やかな顔で話しつつ歩いていた。
その時笑いつつ、女性が高嶺さんの腕を気軽に叩く様子に仲の良さを感じた。
私にはあんなフランクな接し方をできる相手はいない。
なんだか、ちょっと違う世界を垣間見た気がして私はそっとその様子を視界から外した。
なぜか、胸がモヤモヤして仕方なかった。
そんな私の様子に和美が気づくと、声をかけてきた。
「夏乃? なにかあった?」
その声にハッとして和美を見つつ私は胸のモヤモヤを押し込めて答えた。
「なんでもないよ。このチーズケーキも風味が良くって美味しいよ? 食べる?」
そう行って言って差し出すと、和美は顔をほころばせてチーズケーキを食べている。
再び窓の外に目を向けた時には高峰さんはもう歩き去ったあとで、ホッとしたのだった。