甘味好き御曹司とお見合い結婚!?
「そうねぇ、確かに最初はそこまで書いとくの? って夏乃に言ってたけれど正解だったって今回でわかったわね。ナースコール押さなきゃね」
祖母の言葉にハッとして、私は枕元のナースコールを押した。
「はい、どうしましたか?」
「祖母が目を覚ましました」
「すぐに行きます」
ナースコールからすぐに看護師さんと医師が来て祖母の容態を診てくれた。
「今は苦しさは無いですか?」
医師の確認に祖母は頷いて答える。
「えぇ、おかげさまで落ち着きましたよ」
そう返す祖母の顔色も随分落ち着いたように見える。
「では、今日のお昼にまた状態について説明に参りますので、いましばらくはゆっくり体を休めてください」
そうして、お薬などの処置も行って医師と看護師は部屋を出た。
「お昼に説明だっていうから、夏乃一旦家に帰って休んで、着替えとか必要なもの持ってきてくれる?」
「分かった、お祖母ちゃん。ゆっくり休んでてね」
そうして、私にとって長かった一夜が明けて祖母と住む自宅へと戻ったのだった。
私が祖母と住んでいるのは、父と母が私が生まれたころに建てた一軒家。
祖母とは家が出来た時から同居。
父の両親は既に他界しており、母方の祖母も祖父を事故で見送っており一人暮らしだった。
家を建てる際に、もう一緒に住もうとなんと父が渋る祖母を口説き落として同居になったという。
そんな上手く区切られた二世帯住宅は、祖母の1DKと私と両親の3LDKで玄関以外は水回りも別にできている完全にプライベートが保たれている家だ。
そんな広い空間に現在は私一人で3LDKで住んでいるのだが、食事は私と祖母で私のほうのスペースで一緒に済ませている。
だから、この家に完璧に一人になるのは初めてのことだった。
思えば祖母は私が就職するまでは、絶対に一人にならないように旅行にすら行かなかった。